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 お正月の羽板突きは、江戸の昔から女の子の遊びです。そしてこの羽子板は、女の赤ちゃんの無病息災のお守りの意味も持っているのです。
 羽子板で突く羽根の玉、あの黒くて堅い玉は“むくろじ”という大木の種ですが、これは漢字で「無患子」と書きます。すなわち「子どもが患わない」という意味を含んでいるとも考えられるでしょう。
 また、昔は羽根の形をトンボに見立てて、トンボが蚊を食べる益虫であることから、お正月に羽根を突くと、夏になっても蚊に食われることがないと、長い間信じられてきました。こうして羽子板には、遠い昔から子どもの無事を願うあたたかい親心がこめられているのです。