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 五月人形には外飾りと内飾りとがあります。
 鎧や兜を飾るのは、江戸の武家社会から生まれた風習ですが、庶民もこれにならい、ここからのちに精巧なミニチュアの内飾りが生まれました。現代ではとかくこれらを戦争のための武器と受け取りがちですが、日本の鎧兜には、ゆたかな個性と時代時代の最高の工芸技術とが投じられています。風さわやかな五月五日、これら男性美に満ちた鎧兜などを飾って、男の子の健全な成長を祈るのは、日本古来の美しい風習なのです。
 また、鯉のぼりや武者絵のぼりなどの外飾りは、わが子の出世を願うものとして、古くから建てられてきました。