伝統ある日本人形文化の
振興と継承のために

雛人形の飾り方

新年が明け、初節句のお子さんがいるご家庭は、お人形探しを始めた方もいると思います。また、ご自分の雛人形をお持ちで、来月早々にでも飾り付けをしようと思っていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。「どうやって飾るんだっけ…?」と悩まれている方がいても大丈夫です! 今回は「雛の飾り方 ―七段飾り―」について解説します。

どちらが正しいの? 内裏雛の左右
上段に飾る内裏雛(男雛と女雛)は、京都を中心とする関西では男雛は左(向かって右)、女雛は右(向かって左)に置くのが一般的です。これは日本に昔からある「左上位」(向かって右が上位)のしきたりから、このような位置になっています。
一方、関東では逆の位置が一般的。明治以降、西洋的なルールに基づき、天皇と皇后が並ぶ際にも天皇は向かって左となったことに倣っています。これは1928(昭和3)年の昭和天皇の即位式を機に、当時の東京の人形組合が提唱したことから広まりました。

二段目以降の雛人形と雛道具
二段目以降の飾り方の基本は次の通りです。一段ずつ解説します。

  1. 二段目に三人官女を飾ります。座っている官女を中央に、立ち姿の官女を両側に置きます。向かって右は長柄銚子、中央は盃を乗せた三方、左は加銚子を持ちます。中央の官女は、地域によって嶋台を持たせるところもあります。
  2. 三段目に並ぶのが五人囃子です。能舞台の並び方に合わせて、向かって右から地謡、笛、小鼓、大鼓、太鼓の順に並べます。
    四段目には随身を並べます。随身とは、御所の要人を警護するための官人。「左大臣・右大臣」はあくまでも俗称です。装束が黒袍と赤袍の場合は、向かって右を黒袍とし、同色の場合は敬老の意味から老人を向かって右に置きます。
    五段目に並べる仕丁は、御所の雑用係。中央の人形に沓台、男雛側に台笠、女雛側に立傘を持たせます。関西風では御所の庭掃除に使う熊手、箒、ちりとりを持たせたり、酒器や酒肴の小物が付くものがあります。
    ⑤仕丁の両側に置く「左近の桜」と「右近の橘」は、京都御所の紫宸殿の配置に倣い、向かって右に桜、左に橘を置きます。
    六段目の雛道具の並べ方には、特別なルールはありません。
    七段目は、中央に重箱を置き、左に御駕篭、右に御所車を置きます。

飾る順番にも注意! 上から順に飾りましょう
飾り付けをするときは、上から順に並べていくのがよいです。誤って落としてしまったとしても、上から置いていけば、大切な雛人形や雛道具を傷つけにくいためです。雛人形の飾り方は、地域や家庭、人形店によって異なるもの。標準的な飾り方を守りながら、雛人形の飾りつけを楽しんでみてはいかがでしょうか。

日本人形協会発行「にんぎょう日本」2020年8月号「素朴なギモンvol.64」を一部編集して掲載

 

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